「応援する会」事務局より、皆さまへ

 このたび、佐藤真言さんの裁判で、最高裁判所は弁護側の上告を棄却し、懲役二年四月の実刑判決が確定しました。

 昨年十月に当会が発足して以降、全国の皆様の励ましを受けて、佐藤さんはこの事件の真相をできるだけ多くの方に知っていただくべく、渾身の努力を続けてこられました。石塚健司さんがご著書『四〇〇万企業が哭いている―検察が会社を踏み潰した日』で克明に描かれ、また佐藤さん自身が著書『粉飾―特捜に狙われた元銀行員の告白』で訴えているように、この事件を生み出したのは、検察による見立て違いの筋立てと権力の濫用であり、中小企業とそれを支える経営コンサルタントの苦境への無理解であり、また、彼らの苦境を看過してきた法と金融制度そのものであるといえます。佐藤さんは、こうした強者による権力の行使の犠牲者に他なりません。

 前述した石塚健司さんと佐藤さんの著書、そしてこのホームページの「これまでの裁判の経過」欄に添付している「上告趣意書」に詳細に述べられている通り、佐藤さんはこれまで、資金繰りに苦しむ中小企業を支え、健全な経営状態に導いていくことを第一の目的として、経営コンサルタントとしての職務を果たしてきました。また、佐藤さんは顧客である会社からの直接報酬を一切受け取ってきませんでした。多くの中小企業がおかれた社会的・経済的な状況を勘案するとともに、この事件が検察によってどのようにつくり出されていったのかを注意深く吟味したとき、経営コンサルタントとして佐藤さんが行ってきたことは、このような重い量刑に相当するといえるのでしょうか。「上告趣意書」はこの点について、以下のように明確に述べています。

 「本件は、広く巷間に国策捜査と指摘されているとおり、震災融資等の冒用による不適切な融資を防止するために、検察特捜部が見せしめとしてあえて立件したものであって、捜査権のみならず公訴権の濫用と言うべきものであって、被告人らはその犠牲者である。特捜検察の介入さえなければ、スカーラもエス・オーインクもともに返済を行っていたのであり、また被告人の指導の下に、粉飾決算をやめていたのである」(上告趣意書 44頁)

 佐藤さんの実刑が確定したことによって、中小企業とそれを支える経営コンサルタントの苦境、またそうした苦境を生み出している社会経済構造それ自体のはらむ問題が見過ごされたまま、どのような場合も粉飾決算=実刑に相当するという図式が定着してしまうことが、今、強く懸念されます。上告の棄却をもってこの事件を終わりにさせてはならない。今後も、佐藤さんへの量刑が不当であることを訴え続けていかなくてはならないと私たちが信じる理由はここにあります。

 このウェブサイトに掲載されている皆様への手書きのメッセージ(「応援をいただきました皆さまへ」)において、佐藤さんは、「自らが犯した罪をしっかりと見つめ直し、刑に服して参ります」と書いています。しかし、このことは佐藤さんが、検察がつくり出したストーリーにおいて自らが被せられたような、「悪徳コンサルタント」としての「罪」を認めたということでは決してありません。「自らの罪を見つめ直す」という表現は、佐藤さんの無罪を信じて応援してきてくださった方々の努力や思いを無にするようなものではないか、むしろ、無念の思いを正直に伝えたほうがよいのではないかという私たちの問いに対して、佐藤さんはメールで次のように書いています。

私たちの問いに対して、佐藤さんはメールで次のように書いています。

 今後、佐藤さんは刑に服すことになります。しかし、この事件はこれで終わったわけではありません。この事件をきっかけとして、多くの中小企業や経営コンサルタントがおかれている状況、また、検察という組織や取り調べの過程がはらむ問題に光を当て、これらの問題を生み出してきた司法と社会自体を根本から変えていくことが求められています。佐藤さんは、必ずや近い将来、そうした変革の一翼を担っていかれるものと信じます。そして、そうした変革が可能となり、弱者の声が聞き届けられ、不当な逮捕や刑の執行をなくすためには、皆様お一人お一人のお力が何よりも必要です。

 佐藤さんのみならず、私たち「応援する会」のメンバーも、全国の皆様からのメッセージに幾度となく励まされ、また、多くを学ばせていただきました。今後とも、ささやかではあれ、佐藤さんを支え、またそのことを通して、同じような経験をされてきた方々のお力になれることを祈念しております。

 これまでのご協力とご支援に、心より感謝申し上げます。そして、今後とも、お力を賜れますよう、心よりお願い申し上げます。

平成25年6月

佐藤真言さんを応援する会」事務局一同